▼ lost ?

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冷たい風に体温を奪われ目を覚ます、愛しい人。 勝手に窓開けて、ごめんね。 ベッドに座りこむ私と シーツにくるまっているあなた。 腕を引っ張られ、 世界が回転する。 暖かい。 最低な人なのに、 最高の夢を見せてくれるの。 私の心の穴も、寂しさも、孤独も、全て埋めてくれる人。 そんな夢を見てる私を、あなたはたった一言で奈落の底に突き落とすの。 愛してるって呼んだ名前は、私じゃなかった。 たった3文字。 たった3文字なのに、どんなに長い言葉よりも重く、どんな言葉よりも残酷だった。 あなたが一番大切にしてる人。 何にも代えられない愛しい人。 目の前にいるのは、私なのに。 あなたが今愛してくれてるのは、私なのに。 藍色の絵の具は水分をたっぷり含み、どんどん薄く伸ばされていく。 もう朝なのね。 もう一度空が暗くなれば、あなたは帰らずにすむのに。 空を塗り潰すように、私はあなたの名前を呼んだ。 あなたが見てるのは 私じゃないって、 愛してくれてなんかないって、 きっといつの間にか好きになっちゃって、辛い思いするって、 分かってたはずなんだけどな。 ねえ、 「もう終わりにしよう?」
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