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キーンコーン カーンコーン…
学校での一日の終わりを告げる鐘が教室に響くと同時に、晶の制服の胸ポケットに入れていた携帯が鳴る。
急いで取り出し、かけてきた相手の名前を見ると、『誉さん❤』の文字が携帯のディスプレイを光らせていた。
「はい、晶です。」
通話ボタンを押し、電話の向こうの相手と会話を始める。
『今日も一日お疲れ様、晶君。』
「誉さん…。」
耳に心地良い恋人の声に、晶は僅かに頬を紅く染めて。
『今、晶君の学校の近くまで来てるのだけどね。
もう帰れる?家まで送って行くよ。』
「あ、はい。もう帰れます。」
『そう。それじゃあ、校門のところで待ち合わせしよう。』
解りましたと返事をして通話を終えた晶は、慌てて帰り仕度を済ませると、友達への挨拶もそこそこに教室を後にする。
階段を下り昇降口まで来た晶を、反対側から歩いて来た従兄弟兼教師の拓海が呼び止めた。
「あ…、晶。ちょっと。」
こっちに来いと手招きする拓海。
なんだろうと思いながら、晶は従兄弟の側に行く。
「何?拓海兄ちゃん。」
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