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ワイは夢を見た。
誰も居ない暗闇の中で、不敵に笑う悪魔の声が聞こえる夢を。
そしてその悪魔は、必ず最後にワイの名前を呟くのだ。
不気味な笑いと共に。
その所為で目が覚めたらしく、夜空を見上げると、月の位置で推測するに、まだ深夜二時ぐらいであろう。
同じテントの中には、15才ぐらいの金髪の女の子が寝ていた。
性欲の塊、本名はアスモデウス三世、ワイはアスと呼んでいる。
此処はノエル海岸。
ワイとアスは諸事情により、魔王アスモデウス、つまりアスの父親に当たる人に会いに来た。
「……寒い」
異様な寒さを感じ、テントの網越しから焚き火を覗くと、もう火が消えて居た…。
重い腰を浮かし、火をくべる為にテントから出る。
火種がまだ微かに燃えている事に気づく。
バックからラッキーストライクを取り出し火に押し付け、深く吸い込む。
すると着火したのか、火が着き煙がもくもくと立ち上った。
「『影炎』」
そこら辺から拾って来た薪を積み重ね、火属性ナイフで燃焼させる。
パチパチと木が燃えだしたので、テントにまた入り、くわえた煙草を吹かした。
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