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となるとこれは超能力か魔術の類となるだろう。様々な観点から思考を重ねていた時―――
(どわぁー!?って、起きていきなり能力を使うとは何事だー!とミサカはミサカは貴方の乱暴さに避難の声を叫んでみたりー!)
と、元気な「打ち止め(ラストオーダー)」の大声が――――
「聞こえた」。
12時09分
(――――――――ということなの。信じてもらえたかな?とミサカはミ…)
ガッシャーン!とテーブルにあった一枚の皿が、触れられること無く天井に叩きつけられた。
「っるせぇなあ……」
(…でも、本当のこと。ミサカはミサカは真剣に告げてみる)
「ッ!!…だからァ、うるせぇって言ってんだよおおおおォ!!」
白髪の少年は、感情のままにガラス窓に思いきり頭をぶつけた。
鈍い衝撃音と共に頭に激痛が走る。
このアパートの窓は防弾用に作られている。一人の少年が頭突きした程度では傷一つつかない。しかし、タンパク質でできた彼の額の皮膚は衝撃に耐えられず、赤い血が滲み出してきた。
だが、そんなことは瑣末な傷など痛くも痒くもない。
彼の心を貫いた大きな傷跡に比べれば―――
一時間前に遡る。
「……おい、かくれんぼはナシにしようぜェ。俺は色々聞きたいことあンだよ」
『一方通行(アクセラレータ)』は状況に混乱していた上に、近くからは間抜けなラストオーダーの声が聞こえた。今回はどれほど手の込んだイタズラを仕掛けてくれたのか。大脳の感覚器にダイレクトに電気の疑似伝達を促し、今のビジョンと感覚を見せているのだろうと考え、こんな素敵なお遊びのお返しに、このアパートの最上階からパラシュート無しのスカイダイビングをさせてあげようと思案し――――
要するに『一方通行(アクレラレータ)』は今にもブチ切れそうだった。
しかし、待っても一向に「打ち止め(ラストオーダー)」が姿を見せる気配は無い。
「お嬢ちゃァん。隠れないで出ておいでェー。さもねぇと、辺り一面ハチの巣になるぜェ?」
聞かれただけで通報されそうなセリフを吐いたが、
返事は無い。
「…ほォ。こりゃお仕置きが必要みてェだなァ」
何の躊躇もなくM93R-βカスタムのセーフティを外し、スライドを引いた。ガチャリとパラベラム弾を装填する金属音が鳴る。
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