1日目 序章 7時00分

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7時00分 上条当麻は強い日差しに目が覚めた。すっかり秋の季節になって少し肌寒い早朝。 「…ん、んーっ」 体を動かし、目をこすりながら起き上ろうとした。薄目で時計を確認する。 (…まだ七時じゃねーか。あと十五分くらいはいいだろー) 昨日のうちにインデックスの朝食のためのご飯の仕込みは終わっている。おかずも昨日の残りがある。冷凍食品の在庫も問題ない。 (むにゃむにゃ、あと十五分は寝かせてくださいましー) ん? 上条当麻は、ふと気がついた。 なにやら美味しそうなにおいが漂っている。コトコトと鍋の音が聞こえてくる。 (俺、タイマーをセットしておいたっけ?) そんなはずは無い。上条当麻は炊飯ジャーのタイマーしかセットしない。そう疑問に思い、布団を跳ね除けて起き上がろうとして――― 「へっ?」 上条はベッドから転げ落ちた。 「い、ぎゃあ!?」 盛大に頭から転げ落ちる上条。不器用な前転によって頭に激痛が走った。 「い、ってー。って、ベッド?え、え?ってここドコ!?」 上条は辺りを見回した。 ここは部屋の一室。クリーム色のカーテンから朝日が仕込んでいる。自分が寝ていたであろうベッドは全く見覚えがない。先程見たデジタル時計も自分が持っている時計とは違う。 自分の着ているパジャマらしきものも見覚えがない。床はフローリングだが、よく磨かれていて掃除が行き届いているのが分かる。ダークブラウンのクローゼットに張り付けられている等身大の鏡。ベッドの反対側にはちょっとばかり値が張りそうな机に最新式のパソコンまである。どこからどう見ても知らない場所だった。俺は寝ぼけているんじゃないのかと思って、 上条は自分の頬をつねってみた。 痛い。 (ちょ、ちょっと待て!俺は家に帰ってインデックスが寝静まってから米を研いで、朝食の確認を取って、自分の布団に潜ったはずですがー!?一体これはどうなってんだー?た、確かに昨日は自分の布団に…) と、朝から自分の置かれた状況に混乱しかけていたその時。 ガチャリとドアが開いた。
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