68人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
中学生と思われるがメガネを掛けていていかにも優等生らしい風体をしている。軽く顎を下げ、挨拶した。
ビクッ!と驚いたように上条を見てきた。そして体を震わせると何度もこっちに頭を下げ、走るように長点上機学園に向かっていった。
驚いたのは上条のほうだ。
(な、なんか間違ってたかー?俺。も、もしかしてネクタイしていないだけで変に思われたとか?)
後ろからゴロゴロと奇妙な音がした。
「すいませーん!道を開けてくださーい」
振り返ると人込みをかき分けながらローラーシューズで登校している女子生徒が見えた。
彼女も長点上機学園の生徒らしい。左胸に双頭の龍と一本の剣の刺繍がある。通り過ぎる直前、おはようと上条は声をかけた。彼女はゴーグル付きのヘルメットを着用していて、ゴーグルを上げながら挨拶をしようとしたところ
「あっ、おはようございまーす…って、えええええ!?ってて、きゃああっ!」
と、コントロールを失い盛大にズッコけた。
「あぶねぇ!」
上条は咄嗟に彼女の体を掴み、庇うように地面に叩きつけられた。
「うぐっ!?」
「あひゃ!」
背中に強い衝撃が走る。腹部に妙に柔らかい感触を感じるが、今はどうでもいい。「…っ、大丈夫か。お前」
「…えぇ、あ、はい。すいませ…って、きゃああああああああっ!!」
「ど、どうかしたのか!?」
へたり込む少女は上条の顔を見るなり頬を真っ赤にすると、あわわわ、と慌てふためいて叫んだ。
「い、いいいいえ、か、かかかか上条様に、あ、朝からお逢いになれるだけでは無く、た、たた助けてもらえるだなんてぇぇ!」
最初のコメントを投稿しよう!