猫と少年

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クスクスと嘲笑のような笑い声が聞こえてくる。それもそうだ。猫に保護者を名乗られたのだから。猫を飼っているというのではなく、語弊はあるが飼われているという主従関係が全くの逆であるのだから。 「そ、そうか……。ま、まあ良いだろう。それでは、これから自己紹介をしようと思うのだが……そうだな。先ずは俺からだな。ウィル=ターニア。得意とする属性は風だな。ああ、属性については後ほど説明しよう。」 ウィルはそう簡単に自己紹介を終え、生徒を一瞥する。やはり、というかアークへと視線をやる。 「アルフレッド。先ずは君から自己紹介をしなさい。学籍番号が一番若いからな。」 「は、はい。えっと……アーク=アルフレッドといいます。話す事とか苦手なので……あ、勉強は出来ると思うのでよろしくお願いします。それと……こっちの猫がーーーー」 「アルケミ=アルフレッドですにゃ。アークの使い魔ですにゃ。さっきの保護者はほんの冗談ですから、みにゃさんお気ににゃさらずに。」 保護者という説明を塗り替える。アルケミは自分で撒いた種自分でどうにかし、尚且つの事後処理まで入れるという技を見せ、奇異の視線を一先ずは回避した。もちろんアークも長年の付き合いであるアルケミが自己処理をしっかりとすることを理解していた。
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