猫と少年

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賑やかな街並に飛び交う声。ここは商業都市ガーランド。商業都市の名だけあって人々にも活気があり、何処となく笑顔に溢れている。 そんな街を周りの人が振り返るものが歩いている。それは絶世の美女に送られる様な視線ではなく、多分に漏れず奇異の視線であろう。 紺色の毛並みにボロボロに使い古された黒いとんがり帽。尻尾の先に金色の鈴を凛々と揺らす猫。その猫が鎮座するのは、まだ年端もいかない幼き少年の頭である。藍色の髪と瞳。身長はあまり高くない、小さな身体。その小さな身体をボロボロの青色のローブで包んでいる。 道行く人々は頭に猫を乗せ少年が、この街にある魔術学校ガーランドの生徒だという事を理解した。何故ならボロボロの青色のローブの下には真新しい白をベースに青色のラインが引かれた魔術学校ガーランドの制服を来ていたからだ。 「だいたいおみゃーが寝ぼうするから、こんにゃ時間になったんだみゃ!」 「ぼ、僕のせい?!アルケミだって呑気に寝てたじゃないか!」 「みゃーは、あれだみゃ、女の子の日だったんだみゃ。」 「アルケミ雄じゃないか!ていうか猫が女の子の日って言わないよ……。」
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