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社長は出力された地図を鬼塚に渡して、何か書かせている。
ちなみに社長は「字が下手」というのを異常に気にしている為、書類などは決して自分で書こうとしない。
鬼塚から渡された地図には、位置を示す丸印と「白い建物」と書かれただけであった。
荷物を積み込んで出発。尾水が運転していたが、急いでいると言われていたのに、彼の気紛れで何故か少し遠回りして高速に乗った。
「遠回りせんと、最短ルートで行きましょうよ。約束の2時より早よなったら早よなるほど、先方にも喜んでもらえますから」
と僕が言うと、尾水は笑いながら、
「あ~~!かまならよ~!(=別に良いではないか)2時なんかまだまだ先やで!大丈夫や」
…相変わらずアバウトでマイペースな人だ。
トップである社長がそういう人なので、似たような人ばかりが集まったのだろうか。
阪和道和歌山インターを降り、一時半くらいに現地近くに着いた。
「おう!時間だいぶ余ったらよ!」
と、尾水は嬉しそうに言った。
「…いや、だから早く届けたほうが…」
僕はもうそれ以上言わなかった。
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