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数秒後パシ、パシと微かだが乾いた音が聞こえた。
俺は辺りを見渡してから水成がいるところまで足早に歩みゆく。
「撃ったのか。まぁ“コレ”に“人間”に抱くような感情は湧かないわな」
俺と水成の前には胸に二発の銃痕を残して死んでいる男がいた。
「しかしいつ見ても、何度見ても見事に人間だな」
「そうですね。血も出ますし、体温もあります。そして何より私達人間と同じ様に思考しますからね」
「ったく。厄介だな」
俺はため息をついて男の傍でしゃがみ込んで首の後ろに小型のブラックライトを照らす。
照らした部分にぼんやりと文字が浮かび上がる。
─HAP‐0713─
「よし。個体No.が分かった。0713だ。本部に照合頼め」
「了解」
「仕事終了だ。帰るぞ」
と、いつもなら直ぐに何かしらの返事あるが、無い。
「どうした?」
俺は水成の方に振り向く。
振り向いた一瞬言葉に詰まるが、何とか言葉を発する。
「何の、真似だ?」
「仕事はまだ完遂していません。今回の仕事の目標には出雲さんも含まれています。」
水成は俺にサプレッサーの銃口を向けながらそう言った。
俺は薄ら笑いを浮かべてため息をつく。
「理由は?俺が納得出来る説明を頼むな」
「相変わらずね。そのあっけらかんとした性格は“本物”の出雲御國(だしぐもおくに)からコピーしたの?」
「何言ってんだ?人の性格をコピーだと?寝言は寝て言えよ」
俺は水成の余りに馬鹿馬鹿しい話に思わずきつめの言葉が出てしまう。
だが、水成は気にとめる様子も無ければ不快な顔もしなかった。
ただただ、言葉を続けた。
「残念なのは貴方よ。貴方の思考回路は態と一世代前のチップとステルスコーティングが施され、入れられてるみたいね。そのお陰で本部の使う探知機にヒットしなくなってる。本当に貴方達は日に日に狡猾に学習して、私達人間社会に溶け込むわね?流石に私も貴方が人じゃ無いなんて夢にも思わなかった。昨日だって、あんなに身体を重ねたのに全然分からなかったわ……これを見るまではね」
そう言って水成(みずなり)……愛護(めもり)は拳銃を持たない手で一枚の写真を持ち俺に見せた。
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