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そのあと名も知らないお嬢さんとその妹の家にあった家具や衣類が俺の家に届いた。
衣類と一緒にあの娘達も来た。
「お、お邪魔します」
そう言って家に上がってきたので俺は
「違うだろ?ただいまだ」と注意した。
すると俺の嫁?の方は顔を赤くして「た、ただいま帰りました」と言った。
小さい方は今まで住んでたんじゃね?と思わせる程、軽い感じで家の中に入って行った。
「お帰り。今からえ~と・・・・」
「恵凪といいます。西口 恵凪(にしぐち えな)と申します」
「俺は飯嶋 雄飛。よろしく」
「え~と俺はなんて呼べばいいんだろう?」
「恵凪で構いません。私はなんと?」
「好きな呼び方でいいよ」
「それでは『あなた』で・・・」
「うお!」
「嫌でしたか?」
泣きそうな声で俺に言う。
「いや、ちょっと響きが良すぎて」
俺は照れて頬を掻いた。
「それじゃあ、こっちに来て」
俺は恵凪の部屋まで連れて行った。
「ここが恵凪の部屋で隣が恵凪の妹の部屋」
「わざわざ部屋を用意して頂けるなんて嬉しいです」
「うーん」
「どうかしましたか?」
「いや、ちょっと堅いなと思ってタメ口でいいよ」
「いえ、とてもそんなこと――」
「いや、むしろタメ口の方がなんか《夫婦》ぽくていいんじゃないかな」
さすがの俺も《》の部分は小さい声で言った。
またもや恵凪はボンッと顔を赤くした。
すると恵凪の妹の部屋から妹が出てきた。
「やあ、どうだった?」
「・・・・・・」
「嫌われているのかな?」
「いえ、咲はお父さん達の事がショックで一時的に声が出なくなってしまったらしいんです」
「そうなんだ。いつか俺に声を聞かせてな」
そう言うとコクンと頷いた。
そして時間が経ち、晩ご飯の時間。
飯を作ろうとキッチンに向かうと恵凪がいた。
「すみません。勝手に台所使ってしまって」
「だからいいって、ねっ。」
さすがに二度も言う勇気がなかった。
向こうも動揺して指を切ってしまった。
俺は咄嗟に恵凪の指を咥えた。
とても細く、綺麗な指だった。
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