プロローグ 始まり

2/6
前へ
/173ページ
次へ
もうすぐ彼女が来る。 僕、岡崎 颯汰(おかざき そうた)の役目は彼女とここで話をして、彼が来るのを待つ。 彼は遅れて来て、いきなり告白する。 僕は二人を冷やかす。 そういう計画。 彼の未来がかかってる、と言うと大げさだけど、責任重大だと思う。 もし彼以外の人から頼まれていたら、僕は断っていただろう。 ホントに僕もバカだと思う。 こんな役、僕には荷が重いのに。 けど、断れない。 いや……断らなかった。 彼にはたくさん助けてもらった。 だからこの役を引き受けた。 ザッザッザッザッ 誰か……たぶん彼女が来る ヤバい……緊張してきた…… 「あ、颯汰じゃん。どうしたの、こんな所に呼び出して?」 彼女が……清水 麻衣(しみず まい)が来た。 落ち着け僕。彼が来るまでの時間を稼ぐだけだ。 「ちょっとね」 短い!! もっと会話を……言葉のキャッチボールをしなくちゃ。 「あれ、もしかして告白とかされちゃうのかな?」 ヤバい。 なぜ鈍感な彼女がそのことを……いや、たぶん勘だろう。 「ちちち違うよ。そんなわけないじゃん!」 僕のバカ! これじゃあばれちゃうよ!! とりあえず話題を出さなければ……
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2740人が本棚に入れています
本棚に追加