3人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
顔を上げると、俺の同僚、吉田薫が立っていた。
手にはお茶のペットボトルが握られていた。
「彼女かい?羨ましいなぁ。デートのお誘い?」
「あぁ、まあな。」
薫は大きなため息をつくと、
「んなひまねぇだろ。そら、次行くぞ。」
と言った。俺は素直について行く。
八月の暑い土曜日。
俺達が生きるこの世界で一番暑い土曜日。
社用車の運転席でそんなことを想う。
窓の外の空は蒼く、排気ガスに汚れながらも、遠く澄んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!