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私は、その場から動けなかった。
「あ゛―!あぁ゛……」
奇声を発し、もがき苦しむ恋人。
――何が起こった?
目の前の光景が信じられなくて、信じたくなくて、私は目を見開いて立ち尽くした。全身が震える。だって、これはあり得ないことなのだから。
けれど嘘だと思っても、夢だと思っても、涙を流したって事実は変わらない。私は口元を両手で覆った。唇に指先が触れる。……まるで血液など通っていないかのような冷たい唇。
そして彼は、化け物を見るかのような恐怖の目で、私を見上げた。
そう、たった今、私はこの口で――彼を氷づけにしたのだ。
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