01.夢幻の語り噺

3/3
前へ
/46ページ
次へ
ーー嗚呼、雨が降っているね… 傘も差さずに立ち濡れている女が、傍にいる傘を差した男にいう 何を当たり前なことをいうんだか… もう、何時間も前から降っているのに、女は今しがた気づいたようだ …ねぇ、感情って、どうしてあるのかしら 女は男に問いかける さぁな 男は女の問いかけを、さらりとかわす …裏表な感情ほど、いらないものはない 女は、そういい放ち、男の方へと冷えきった体を向ける …帰りましょう この女が、一体なにを思っていたのか… それは、黙って彼女の囁きを聴いていた雨にしかわからない… .
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加