0人が本棚に入れています
本棚に追加
ーー嗚呼、雨が降っているね…
傘も差さずに立ち濡れている女が、傍にいる傘を差した男にいう
何を当たり前なことをいうんだか…
もう、何時間も前から降っているのに、女は今しがた気づいたようだ
…ねぇ、感情って、どうしてあるのかしら
女は男に問いかける
さぁな
男は女の問いかけを、さらりとかわす
…裏表な感情ほど、いらないものはない
女は、そういい放ち、男の方へと冷えきった体を向ける
…帰りましょう
この女が、一体なにを思っていたのか…
それは、黙って彼女の囁きを聴いていた雨にしかわからない…
.
最初のコメントを投稿しよう!