国境の無法地帯(4)

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 レティシア様がこれ以上可愛くならないでほしい。いや、これ以上可愛くなったらもう我〔わたし〕が生きてけない!ああ、もうルイと同類じゃないか。 「そ、そんなことよりも、どうするんですか?旦那様のこと」  咳払いをして、レティシアに質問を投げ掛けると、彼女はこちらをきょとんとした表情で見つめる。 「どうするもこうするも……。成り行き任せ?」 「成り行き任せって……」  少し抜けている。いや、あえて流れに任せようとしているのか?旦那の浮気を黙認するようには見えない。  はたまた、浮気などしないと信じきってるのだろうか? 「イレーヌが心配しているようにはならないわよ。大丈夫だから」  にこにこと笑っているだけで、本当の感情がまるで見えなかった。 「失礼します」  イレーヌの思考をとめたのはレイヴンの声だった。 「ジョージアナさんを見ませんでしたか?」 「ここには来てないわよ」 「ジョージアナ様はいません。自宅に帰られたのでは?」  イレーヌが答えると、レイヴンはこちらをじっと見つめる。まるで探るかのようだった。 「本当ですか?」 「ええ。匂いもしませんし、足音もありませんから」
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