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レティシア様がこれ以上可愛くならないでほしい。いや、これ以上可愛くなったらもう我〔わたし〕が生きてけない!ああ、もうルイと同類じゃないか。
「そ、そんなことよりも、どうするんですか?旦那様のこと」
咳払いをして、レティシアに質問を投げ掛けると、彼女はこちらをきょとんとした表情で見つめる。
「どうするもこうするも……。成り行き任せ?」
「成り行き任せって……」
少し抜けている。いや、あえて流れに任せようとしているのか?旦那の浮気を黙認するようには見えない。
はたまた、浮気などしないと信じきってるのだろうか?
「イレーヌが心配しているようにはならないわよ。大丈夫だから」
にこにこと笑っているだけで、本当の感情がまるで見えなかった。
「失礼します」
イレーヌの思考をとめたのはレイヴンの声だった。
「ジョージアナさんを見ませんでしたか?」
「ここには来てないわよ」
「ジョージアナ様はいません。自宅に帰られたのでは?」
イレーヌが答えると、レイヴンはこちらをじっと見つめる。まるで探るかのようだった。
「本当ですか?」
「ええ。匂いもしませんし、足音もありませんから」
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