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「おい聞いたか!?昨日から隣町が強盗団に占拠されてるって!」
「何だと!?帝国軍はどうしたんだ?」
「強盗の親分が強いらしくて、帝国軍はみんなやられたらしい。どうする?こちらの町までこられてはたまったものではないぞ」
「そうだな。今のうちに逃げ準備をしとこう。俺たちには妻子がいるんだからな」
「それがいい。善は急げだ」
ある酒場の中、物騒な噂が立ち込めていた。
隣町に襲撃した強盗団の存在。
非力な市民にとっては脅威極まりないことである。
人々は慌て、走り回り、逃げる準備を始めている。
だが、1人……いや、1人と1匹だけ、この騒ぎに乗じない人物らがいた。
その1人は酒場のカウンターに座り、周りとは正反対に酒を親しんでいる。
まだ歳は若く、身長は180前後。鮮やかな金髪。腰には二対の剣が存在し、右に白い剣、左に黒い剣と歪な装備をしていた。
もう1匹の黒い猫は、その隣の席にちょこんと大人しく座っている。
酒場の店主もその騒ぎに慌てだし、なぜかゆっくりしているその男に話しかける。
「ちょっとあんた!今の騒ぎが聞こえないのかい!?早く逃げる準備を始めてくれ!」
店主の言葉に対し、双剣を携える金髪の男は全く動揺を見せない。
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