月影の幻

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 念のため懐中電灯のスイッチを切っておく。明かりに気づいて神様が出てこないかもしれないと思ったからだ。 「来ないなぁ」  俺がため息をつくと少し強い風が吹いて、きぃっとブランコが揺れた。  5月も末なのに風が冷たい。衣更えも近いってのに。 「うー……」  鈴音がごしごしと目を擦る。  ケータイを開いて時間を確認すると0時32分。 「もう少ししたら帰ろうか」 「そうだね、明日も学こ……」  俺たちこっそり家を出てきたわけだし。まぁ俺の家には誰も居ないけど。 ……?  鈴音が言葉の続きを言わない。寝ている様子はないのに。 「神楽?」  黙ったままの鈴音に榊が声をかける。 「……」  反応が無い。鈴音は正面を見たまま固まってる。 「?」  榊が鈴音が見ている方向を見るために振り返り、 「……」  鈴音と同じように硬直した。  二人の視線の先にあったのは―――
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