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例の電柱の上に人が立ってる。
暗くて顔とか体格とかはよく分からないけど、影の形は間違いなく人間。天使のような翼の形の影も見える。
俺は立ち上がって、真っ直ぐ走り出した。後ろで二人の声が聞こえたけど無視した。
「おい!」
俺が電柱の下に駆け寄っても神様(?)は逃げなかった。
「お前が月影之幻神か!?」
神様(?)に聞こえるように大きな声で尋ねてみたけど、返事は無い。
こんな今にも消えそうな電灯じゃ電柱のてっぺんが見えない。下を、こっちを見ているのは分かるけど……
俺は右手の懐中電灯を握り直した。
これを持ってきたのは夜道を照らすためだけじゃない。暗い場所で(神様だけに)その顔を拝ませてもらうためにも持ってきたんだ。
神様(?)としばらく視線を交えてから俺は
「ていやっ!」
と、懐中電灯を素早く点けて神様(?)に向けたはずだったけど
「あ!」
向こうの反応のほうが早かった。
懐中電灯で照らす直前に神様(?)は飛び立った。飛び立つとき、伊吹さんの言う通り大きな羽音が聞こえた。
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