月影の幻

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 空に飛んだら懐中電灯なんかじゃ照らせない。神様(?)は高く高く飛んで夜空へ消えた。  畜生、逃げられた。 「御言!」 と、鈴音の声が聞こえ、振り返ると二人が駆け寄ってきた。 「はぁ、昔からだけど御言って度胸あるよね。ある意味男子以上に」 「そうか?」  別にそんなにヤバいことはしてないと思うけどな。 「何しかけてくるか分からないやつに堂々と話しかけるなんて……」  はぁ、と榊は呆れたようにため息をつく。 「はぁ……」  俺もため息をつく。呆れたって意味じゃなくて、神様に逃げられたことに落ち込んでる。 「ねぇ御言、これって……」 「?」  鈴音が地面に落ちてる“それ”を拾い、俺に渡してきた。 「……」  この柔らかさ、感触、軽さ、色。 「それ、伊吹さんが見せてくれたのと同じか?」 「あぁ、間違いない」  榊の言葉に自信を持って答えた。  これは伊吹さんが見せてくれた黒い羽と同じものだ。
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