1、旧音楽室の幽霊

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6月 2週間目(木) はれ  二週間前と違って制服は夏服。  赤月高校の夏服は女子はセーラー服タイプで男子はワイシャツ+スラックスタイプ。セーラー服のスカーフは“赤”月高校だから赤色。スカートは黒。  男子はワイシャツ+黒のスラックス。  はぁ……セーラー服は嫌いだ。いや、女子の制服が嫌いだ。  ったく、何なんだよこのスカート……と心の中で愚痴りながら鈴音と榊と一緒に登校する。  いつもの通学路。塀に囲まれた住宅街。車通りの少ない幅の広いアスファルトの道。  この先に田んぼの畦道があって、学校は田畑に囲まれてる。なんてド田舎。  右隣を歩くのは鈴音。左隣を歩くのは榊。  つまり真ん中は俺……だけど榊はいつも俺から少し離れたところを歩いている。昔からこんな感じだけど理由は分からない。 「ミソ君、逃げたりしないよね?」  鈴音が今日の“作戦”の話を切り出してきた。 「逃げたら桃ちゃんに何言われるか分かってるだろ」  今日の作戦に必要不可欠な“あの子”  あの子が居なきゃ噂の検証はできない。 「……後でメロンパンでもおごってやるか」  あの子を気の毒に思ったのか、榊がぼそりと呟いた。 「……」  十字路の角にある公園の前で立ち止まり、上を見上げる。 「流石に居ねぇだろ」  榊が呆れた口調で俺に言う。 「いや、分かってるけどさ」  なんか癖になってるんだよなぁ。  俺が見上げたのは例の月影之幻神が立っていた電柱。  通学路だから此処を通るしかないワケだけど……俺はあの日以来、此処を通る度にこの電柱を見上げるのが癖になった。 「御言、遅刻しちゃうよ」  俺は鈴音に促されて電柱を見上げるのを止めた。image=426231195.jpg
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