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真夜中の静かな公園。
俺たち以外誰も居ない。住宅の明かりは全部消えてる。
明かりは公園の反対側にある電灯だけ。チカチカと点滅して今にも消えそうで……光としては心細い。
こんな寂れた田舎がきらびやかな都会のように、夜が明るいわけが無い。まぁだからこそ懐中電灯を持ってきたワケだけど、今は点ける気になれない。
「……」
青いペンキが剥げたベンチに座ったまま夜空を見上げる。
星が散らばる雲一つ無い夜空……
「つきかげのまぼろしのかみ、か」
空に浮かぶ三日月を見上げ、俺はぼそりと呟いた。
「黒い翼の神様って天使みたいだよね」
そう言ったのは俺の右隣に座る女の子。
肩より少し下まで伸びた黒髪。少し膨らみのあるバスト。幼い顔立ち……所謂童顔(本人曰くコンプレックスらしい)の彼女は俺の幼なじみで親友の“神楽 鈴音(かぐらすずね)”
「黒翼っていうと堕天使じゃねぇの?」
そう言ったのは俺たちの前に立つ男子。
昔は俺より背が低かったから、よく黒い髪をぐしゃぐしゃに掻き乱して遊んでたのに……今は俺のほうが背が低い。
手も大きいし、腕も脚も細い癖に筋肉あって……男らしくなったなぁと思う。
コイツも一応幼なじみの“榊 護(さかきまもる)”
俺と鈴音と榊が不良でも無いのにこんなところに居るのはここが“現場”だから。
噂の調査のために俺たちはここで待ってる。
昔からこの月影市を守っている神様……“月影之幻神(つきかげのまぼろしのかみ)”が現れるのを。
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