19人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
伊吹さんは自分が体験したことを語り終えると「あれは噂通り月影市に住む神様だったのかもしれない」と呟いた。
伊吹さんが言っていたのは“月影の幻の噂”
月が出ている夜は月影市に住む神様、月影之幻神が月影市の何処かに月光を浴びるために現れる、というもの。噂というより伝説に近い。
俺の場合、非現実的なことだからって「嘘だ」と決め付けて嘲笑ったりしない。どんなに非現実的な出来事も“絶対ありえない”とは言い切れないから。
月……黒い羽……影……月影之幻神……
頭の中でワードがぐるぐる回る。俺の中で“知りたい”という欲求が沸き上がる。
……伊吹さんの話を聞いて興味が沸いてきた。
「なぁ、その神様見たのって何時くらい?」
と、早速伊吹さんに情報を提供してもらうことにした。
……というのが今朝の話。
昼休みに同じクラスの鈴音と榊を現場調査に誘ってみた。
鈴音は「面白そうだね」と言って簡単に承諾してくれた。
榊には「夜中に危ねぇだろ」と注意された。まぁ無理矢理承諾させたけど。「何で危ねぇんだよ」って聞いたら「女の子が夜中に外に出るなんて危険だろ」なんてふざけた解答をされたから一発頭を叩いておいた。
最初のコメントを投稿しよう!