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「ふあぁ……」
再び鈴音が欠伸をする。
「大丈夫か?」と俺が声をかけたら「平気だよ」って返してきたけど声が凄く眠そうだ。
俺以外にも証人は必要かな、と思って誘ったけど悪いことしたなぁ、と後悔した。
「榊、鈴音を家まで送っていってくれ。そのまま榊も帰っていいから」
鈴音と榊の家は近い(というか俺の家の門を出て右隣が鈴音の家、左隣が榊の家)から榊に鈴音を頼むことにした。
「お前はどうするんだよ」
「俺は一人で此処に居るから大丈夫」
一人でも待つことはできる。暗いのは全然平気だ。
「あ、懐中電灯貸そうか?」
と、懐中電灯のスイッチを入れて榊を照らす。
「何でお前を置いて帰るんだよ」
何故か怒った表情の榊。
「こんな夜中に一人で居たら危ないだろ」
気を使って言ったつもりなのに何で怒ってるんだよ。
「でも鈴音が」
「……」
「……分かった」
睨まれたから渋々二人を帰すのは諦めた。
子供じゃあるまいし一人でも帰れるのに。
俺は男だ。戸籍上は女だけど心は男。心配されなくたって、俺は……
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