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そろそろ行かなくちゃ。
僕はもうここにいないって
幽霊なんだって
解ったから……。
その子は、彼女の体に
顔をすり寄せる。
まるで、別れの挨拶でも
するかのように。
君のこと見守ってるよ。
会いたくなったら、
何時でも化けて出てあげる。
風に吹かれ、
ふわりとカーテンが揺れた。
窓の外には茜空。
雲間から注ぐ光はきっと、
天国への階段なんだろう。
その日はちょうど送り盆。
その子はその光の階段を、
勢いよく駆け上がった。
「またね」
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