夢幻

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   まだ、蝉の鳴き声残る  八月半ば――。  気がつけば  同じ時刻同じ場所、  僕は立っていた。  部屋も何も変わらない。  なのに――  君は、あの頃みたいに  笑わなくなって  カーテン越しに  どこか遠くを見るばかり。  その子は心配そうに  彼女の顔を覗き込む。  彼女の頬には涙が一筋伝う。  一体、何時から  そうなったの?  君をそんなに  悲しませたのは、     何――?  「僕はここにいる」  いくら叫んでも、  その子の声は届かない。  
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