27人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ、蝉の鳴き声残る
八月半ば――。
気がつけば
同じ時刻同じ場所、
僕は立っていた。
部屋も何も変わらない。
なのに――
君は、あの頃みたいに
笑わなくなって
カーテン越しに
どこか遠くを見るばかり。
その子は心配そうに
彼女の顔を覗き込む。
彼女の頬には涙が一筋伝う。
一体、何時から
そうなったの?
君をそんなに
悲しませたのは、
何――?
「僕はここにいる」
いくら叫んでも、
その子の声は届かない。
最初のコメントを投稿しよう!