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優希「あの…」
??「なんでございましょう」
優希が話し掛けると、女の人は顔を上げ、にこりと笑みをこぼした。くりくりの目が印象的な、可愛い人だった。
優希「誰、ですか?」
結菜「あ…これは失礼いたしました!私は女中の結菜(ゆいな)、と申します。」
上げた顔をもう一度下げて丁寧に言ってくれた。
なんでも、光秀に入浴のお手伝いをするようにと言われ、来たらしい。
優希「ゆい…な、さん。」
結菜「はい?」
――…ゆーきちゃん!…――
何処か悲しげに女中の名を呼ぶ。不思議に思って結菜は顔を上げ首を傾げる。
寸の間、優希は目線を下に向けていたが、ふと結菜の不思議そうにしている視線に気がついた。
優希「……あ、いやいやいや何でもないです!すいません勝手に名前を呼んじゃって!!てかなんで敬語なんすか!?」
結菜「いえ、大丈夫ですよ!敬語については、明智様が連れてこられたお客様に敬語でないのは失礼でしょう?」
慌てる優希を余所に、結菜はまたにこりと微笑みながら立ち上がった。
優希「でも明かに俺の方が年下ですし…」
結菜「もう細かい事は気にしないで下さいな。そんな格好では、いくら優希様が男子(おのこ)でも風邪を引かれてしまいます。すぐに入湯(入浴)のお手伝い致しましょう!」
罰が悪そうな顔をしながら服を弄っている優希を余所に、結菜はずんずんと近づいて来る。
そして優希の前に立つと、優希の持っていた服を奪った。
優希「あっ!」
結菜「え?」
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