織田家の時

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濃姫「それはそうと、ごめんなさいね…光秀が勝手に連れてきてしまったせいで、疲れたでしょう?」 濃姫はそう言うと、着物の裾を気にしながら優希の目の前に正座をした。 優希は小さくお辞儀をした後、濃姫に言った。 優希「いや大丈夫です。こちらこそ、わざわざ部屋に通して貰って申し訳ないっす。あ…でも、此処に来たのはもうひとつだけ理由がありまして。」 光秀「…わたしもそのつもりで連れてきて差し上げたんですよ…」 優希(嘘つけ) 優希は、あんたには何にも話して無いはずなんだけど、と思いながら光秀をジトーッと見た。 濃姫「あら、そうなの。で、理由って何かしら?」 いつの間にか表情の戻った濃姫の声で、そうだった…と思い出した優希は、濃姫の方を見た。 優希「ああ、一つ聞きたい事があって。…ちょっといいっすか?」 濃姫「いいわよ。なんでも聞いてちょうだい。」 そう言うと、濃姫は姿勢を正した。つられて優希も正して、口を開いた。 優希「それじゃあ…。 この城下町で昔…たぶん10年位前なんすけど、宿屋で火事ってありましたか?」
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