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高いのか低いのかよくわからない不思議な声に、警戒しながら恐る恐る振り返ると、そこには。
優希「うわ、みっちーだ」
三秀「みっちぃ、とは私のことでしょうか…クク、面白いお方だ」
今だに、楽しそうに喉を鳴らして笑う銀髪の男は、みっちー…ならぬ明智光秀であった。
ちなみに、振り返った瞬間に首元に鎌を一本突き付けられていたせいで(多いなこの展開)逃げる、黙るという選択肢はこの時点で無くなっていた。
光秀「…いや、今はいいです。どうしてあの崖から落ちてきたのでしょう」
優希「…蘭丸と名乗った男の子が、な、んか、馬鹿にするなだの、なんだの言って、きて、落とされた。いってて…。」
優希は傷が痛んでいるせいか、途切れとぎれに言葉が出た。
下に友助がいて大丈夫だったとは言え、木の枝で顔や足などあちこち切っているのである。
光秀「おやおや、それはいけませんね…怪我をしているようですし、我が城へどうぞ来て下さい…」
我が城と言っても信長公のお城なんですけどね、と付け足した光秀は、にんまり。といった効果音がそのまま使えそうな笑顔だった。
優希「あの、その凄く怖い笑顔を止めてくれます…?」
光秀「フフ、すみませんねぇ…血を見るとどうも嬉しくて」
スラリと鎌を降ろした光秀は、優希を見たかと思うと、鎌を目の前に持って行きうっとりと目を細め、刃を舐める様に見た。
優希「うげ…。まあ、ちょうどいいし、連れてってくれませんかね。みっちーさん」
よいしょ、と優希が立ち上がるのを一通り見た後、くるりともと来た道の方へと歩き始めた。どうやらついて来いと言いたいらしい。
光秀が歩いて2、3歩目でいきなりぼそりと呟いた
光秀「おかしな人ですね…」
優希(人の事いえねぇよ)
口には出せなかった。てかだしたくなかった。
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