影の時

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――日が昇って城下町が明るく照らされてきた頃。 慶次「…ん、ふあぁぁ…。もう朝か。 …遅いな優希ちゃん…」 夢吉「キキー…」 慶次は宿で優希の帰りを待っているうちに、寝てしまったらしい。 昨晩すぐに帰って来るだろうと思った慶次は、昨日の女性(宿の女将だったらしい)が薦めるままにお酒を飲み、そのまま潰れたのだ。 慶次「・・・ああーっ!もう!優希ちゃん何処まで行っちまったんだ!」 慶次は頭痛のする頭を振り絞って、勢いよく部屋の襖を開けて廊下に出る。 慶次「危険な目にあってたらと思うと行かなきゃいけないんだろうけど…でも優希ちゃん帰って来たら入れ違いになるしなぁ…うーん…」 ――こうやって悩む事5分。廊下でうろうろしていた慶次は、ちょうど廊下で通り掛かった女性に声をかけた。 慶次「なあなあ、あんた昨日優希ちゃんがどこ行ったか見なかったかい?」 女性「あ、えっと。あの…、昨晩店を出て行った子ですか?」 女性は足を止め、確認するとそうそう!と慶次が言った。 女性「それなら、私見ましたよ?」 慶次「ど、何処へ行ったか分かる!?」 女性「は、はい…。用事があって外に出ていた時、偶然見かけたんです。 たぶんですけど…向こうの山に小高い丘があるんですが、そこに向かって歩いて行きました。」 女性は山がある方を指差して、丁寧に答えた。
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