影の時

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その話を聞いた瞬間、慶次は顔をぱっと明るくさせた。 慶次「本当かい!?教えてくれてありがとねお姉さん!」 「お姉さん」という言葉に気をよくしたのか、はたまた慶次が女性の両手を掴んでいるからなのか、女性の頬がほんのりと色付いていた。 女性「い、いいえ!道中お気をつけ下さいね」 慶次「本当にありがとね!じゃあ!」 女性「あっ……」 女性は、動揺を隠せずに慶次を熱っぽく見ていたが、そんな事も気にするそぶりもなく、既に女性の両手を離し、慶次は山へ走り始めていた。そして、「女将さんにもよろしく言っといて!」と言って、去っていった。 女性「…もうっ!」 女性はたいして怒っている訳ではないらしく、恥ずかしさからか、頬を両手で包み熱を冷まそうとしていた。 女将「…―ちょっと!もうすぐ時間じゃないですか!あの子に新しい服持っていくんでしょう?手伝って下さい!!」 するとそこに、眉間にしわを寄せた女将が怒りながらやって来た。 女性「女将さぁん、さっきの人格好よかったですねぇ!」 女将「もう!先行きますよ?」 女性「うふふ♪はぁーい!」 女性はそう言うと、女将のあとを浮かれながら追いかけたのであった。
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