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「それにしても相変わらず理解できないね。何故君にだけ沢山の不幸が訪れるのか……科学的に証明できないとは歯痒いね。」
じゃれ合う二人に先程の冷静な雰囲気の男子が声をかける。
彼の黒く短めの髪は校則通り目にかからない、耳を隠さない、Yシャツの襟にかからない位置までキッチリ切られている。
制服も校則通りにキッチリと着ている。
眼鏡もかけており、その言動と合わせて見ると、インテリ街道まっしぐらである。
「出たよ、博士の分析癖が。」
静華は彼を博士と呼んだ。
当然のことながらこれは愛称、言い換えればニックネーム。
彼の名前は
「僕は崎村 学(さきむら まなぶ)という名前がある。博士と呼ぶのはやめろ。」
無表情で静華に文句を言う学。
……紹介の機会を奪われたため特徴をこちらで紹介する。
彼も如月静華に並ぶ秀才で、学年の成績は毎年2位をキープしている。
学力では一歩如月に及ばないものの、幅広い知識を持ち、所謂雑学面では彼の右に出るものはいない。
更には部活動として自然科学研究会に所属しており、会長を務めるという鬼才。
また、奇跡や偶然、神仏といったものに対しては徹底的に不信態勢をとっており、何であろうと直ぐに科学的に分析したがる癖がある。
このような事から、静華は彼のことを“博士”と読んでいるのだ。
「なーに、堅っ苦しく名前呼ぶよりいいじゃないの。ねー?美咲。」
「う、うーん……。」
美咲自身は“博士”とは呼ばず“崎村君”と呼んでいるため、美咲は言葉を濁した。
「大体、いつも思うけど何故“博士”なんだ。」
「博士っぽいじゃん。」
「質問の答えになってないだろう……。」
学の無表情が多少歪み、眉間に皺が寄った形になる。
呆れたのだろう。
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