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「何故俺は生きている?」
『暴王』はベッドの上で覚醒する。己の居城の一室である事を記憶から掘り起こしながら、レイ・スティーブの一撃に倒れた後の記憶との統合性の欠如に疑問符を提じていた。
「急所は外したぜって奴だ。ま、それでもお前の治癒速度には全然驚かされたけどな。」
「十を伝えるには一では足りないか、、、では問答を代えよう、何故、生かされた?」
「あ?言ったろ?敵じゃないって、お前は今から俺の仲間だ。」
「ふざけるな。」
「ふざけてなんかねぇよ、俺はあの人いつもおちゃらけてるけどなんだかんだいって根は真面目だよね。ってタイプだ。」
『暴王』は突如発現した大剣をレイの喉元にあてがう。
「そういう態度もふざけているというのだ。貴様に付き従う事について俺が何か得をするとでも言うのか?」
「―――ふざけてねぇって言ってんだろ?」
眼に力が入る。空気が一辺する。
「ふざけてるのはお前の方じゃないか?お前は俺に負けたんだぜ?この乱世で敗北がそれこそ死に直結してるのは、俺なんかよりお前のほうが知っている筈だろ。逆に考えてくれ、俺は一度死んだお前に命を吹き込んだと思ってくれれば幸いだ。『死』ってのはこの世で一番苦痛な事だ。ならお前はその死を退けてくれた俺に恩返しするべきなんじゃないか?」
言い切った後、深い嘆息いれながら頭を左右に振るうレイ。
「―――ていうのが、常套句なんだろうな。俺はそんなねちねち、ちまちました人間にはなれねぇな。」
苦虫を潰した様なしかめっ面を見せたと思うと、軽く笑って見せるレイ。
「さっきの戦いは俺にとっては品定めでお前にとってはデモンストレーションだと思ってくれて構わない。俺は確かにお前にすげぇ仲間になって欲しいけどよ、強制する気は無ぇよ。だってそしたらお前は『やらなければならない事』と『やりたい事』がブレる訳だ。結果、モチベーターが喪失する。そんなお前は絶対に理想的な成長をする道理はねぇよな、それはつまんねぇ。」
語る口調は次第に熱く。
「まだまだ強い奴等はこの世界にいるかもだけどよ、お前は俺の最強のライバルだ。今、決めた。これは俺の主観だから、たとえお前が拒否したって、仲間にならなくたって覆りはしない。俺ルールだ。」
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