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「んで、こっからが重要な話。
『暴王』、、、『天災』と畏怖され、かの有名な『覇王』の名を受け継ぐ名を持つ者よ。さっきも言った様に『死』よりも重たい物はこの世界に無いと思ってる。だから今まで何人もの人間を殺してきたお前にはその裏付けたる理由がある筈だ。
あるべきだ。それが無いとお前は只の快楽殺人者になってしまう。少なくとも俺にはそうは見えなかった。
教えてくれ『暴王』
闘う理由を。
生きる理由を。」
「教えてくれだと?片腹痛いわ。どうせ俺に拒否権は無いのだろう?」
「まぁな。」
「―――復讐の為だ。」
「随分とありきたりだな。」
「貴様っ!?」
怒りを露わにする『暴王』に対して全くの無表情のレイ。
「すまねぇな小言を挟んで、続けてくれよ。いや、そんな蟠りのある状態では続けられねぇか?だろうな、俺だったら俺みたいな話の聞き手がいたらうぜぇと思う。だが、お前が殺した人間全てが本当に『復讐』という大義名分の下に殺されているんだろうか?」
口を紡ぐ『暴王』。
「もしかしたら、いや確実にお前は復讐すべき相手以外の人間も殺めている。じゃあそいつらはなんで殺されたんだ?別にありきたりである事は罪じゃないし、逆に大義名分があれば殺しても罪じゃない訳じゃないが、俺は他者に意味の無い死を与える事がとても解せない。
そして意見がぶつかった時に、己の意見を押し殺してまで他人を立てる気も無い。もしかしたら意見をぶつける事によって、更なる高いレベルの意見が生まれるかもしれないし、何よりも本音をぶつけあうのは気分が良いしな。だから教えてくれよ『暴王』。」
「力が欲しいのだ。奴らを殺しきる圧倒的力が。それを得るには実戦が最も効率的だ。只それだけ。」
明後日の方向を見ながら舌打ちする『暴王』をしっかりと見据え、ぱしりと己の腿を鳴らしながらレイは右手を差し出す。
「よし解った!!万事解決した!!お前やっぱり俺の仲間になれ。
お前は力が欲しいんだろ?その為により多くの実戦を積みたいと?じゃあ俺の一番近くにいて俺と切磋琢磨すれば良い。俺以外に敗れた事が無いんだろ?じゃあ今のお前の選択肢的に最も有意義な実戦相手は俺な訳だ。
良かった。どうやらお前の道と俺の道はある程度交差しているらしいぜ?じゃあもう一度だ『暴王』………」
「ロック・アーヴィングだ。」
「ロック、仲間になろう。」
見据えた目は強く輝いている。
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