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「五分...二十、二十一、二十二...」
「せっかちねイレーネ。焦らなくても時期、来るわ。」
ほら。そう言うように顎を沿って薄暗い会議室の入り口を指し示す。
ギィ...
豪華な木造の円卓を囲む六人の人間が七人目の来訪に耳と目を傾ける。黒髪でその部屋の装飾にもひけをとらない程の豪華なローブを身に纏った男が一礼を挟み、着席する。
「やっとおでましか、確かにあんたの事は認めているが、俺達は各々異なる分野で秀でているからこそ、集められた集団だ。だからあんたを尊敬はしても憧れはしないし、遅刻とか、そういうマナーを守れない人間には信頼も出来ない。あんたは一応仕切り役なのだから敬意と信頼を失ってはいけない筈だ、それがリーダーの素養なんだからな。」
「申し訳ありません。遅れの言伝を出すのも難しい程の急務を王からおうせつかってしまいまして。」
「ん・じゃあしゃあないな。理由があるならそれは仕方がない。何より俺達は究極、王の配下だしな。王がからんだ案件には文句は言えねぇなぁ。」
「ジルバ殿、貴方は物分かりが良くて助かります。これで全部ですか?」
「いんや、件の『剣帝』の天才ぼっちゃんと、後、『番犬』の奴がいねぇ。おまけに『剣聖』のじっちゃんは熟睡してやがる。なんだか厳正な雰囲気が素敵なのは解るが、この薄暗いのやめね?眠るのは理解出来ないが、眠くなるのは理解出来る。」
「検討しましょう。」
「何言ってんだぁ、ガキィ。寝てないわぁ、瞑想だボケェ。」
「どちらでも良いです。既に会議の開始予定時刻から七分と四十五秒経過しています。無駄です。」
髭を蓄え、赤髪にちらほらと白髪が見え隠れする年不相応な筋肉の鎧を纏う老人が机に顔をうつ伏せながら返答する。それに脇目も振らずに唇だけを動かし否定をする眼鏡で長髪の少女イレーネの歳は今年で十四になる。
「そうですね、それでは
『剣聖』ゼル殿
『銀龍騎士団筆頭』ジルバ殿
『マティス研究所所長』イレーネ殿
『予知者』マリア殿
『王属特務部隊隊長』ガイクス殿
、、、代理ジゼル殿
『ゲスト』ダミアン殿
そして司会を務めます私こと『王付秘書』ザクロを含め、計七名で、『八英衆』定例会議を始めます。」
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