――英傑――

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「いえいえ、私は所詮ゲスト。国のトップの会議に口を挟める程、図々しくは無いのです。」 「そんな俺達は、王が許したゲストに一つの言葉も許さない程、排他的でも無いんだぜ?」 「私なんてしがない――― 「しがない遺跡発掘調査員が何故、国のトップの会議への参加を王から許されているのか?俺はその貴方のスペシャリティに大いに期待している。」 「詳しいんですね。」 「俺の年収の約半分が、王の命しか聞かないあの『番犬』への依頼料だった。なぁ、ジゼル君。」 「隊長は王の命と奥方以外には手厳しいですからね。」 ジゼルがくすりと愛想笑いする。 「ダミアン・ファウナ卿 齢46歳。全長168cm。体重72kg。 王都ベンヒィカに庶家の次男として出生、14の歳でベンヒィカの魔法学院でも最下層と謳われるガラド魔法学院に入院。魔法に類い希たる才能が見出された訳ではないものの、同時少年が嗜好を興じ、時間を注いだ遺跡発掘の論文が高い評価を得、当時、最も充実した設備、人員を有した研究チームに研修生として配属。数年後、魔法学院を中退、正式に入隊。更に数年後、27の歳で自らをリーダーとする新規のチームを立ち上げ、高いパフォーマンスと確かな実績で爵位と妻を得た、妻は長年連れ添ってきたジーナ・ファウナ(旧姓トリステン) そして38の歳、その時点で夫人も研究チームも全てが貴方自身も歴史から名を消す。それから今までの情報は一切の謎。 ガイクス隊長からの言伝です。『貴方がどういう存在なのかは大体の予想はついているが、だから何という訳では無い。利用するつもりならすれば良い。だが、踊らされるだけだとは思うな。番犬の鼻は道化を嗅ぎ分け、その牙は道化を嫌う。』」 「良く調べましたね。私の弁を信じるかどうかは貴方達次第ですが、私は私に価値がある事を証明しないといけない訳ですね。道化でない事を、良き隣人である事を理解して貰わなければ。 正直な話。 私は貴方達の味方でも無ければ、敵ですらない。私達は只、私達の野望の為に動いています。 『名も無い貴族』とでも名乗らせていただきましょうか。 先ず、私達の同士はどこにでもいます。絶対数が多い訳では無いですが、より効果的に効率的に人員を配置しています。政府は勿論、あの『トロイ』にもです。それが1つめの強み。」 ダミアンは人差し指で1を作る。
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