TAKE 3

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「そんなことないです! すいません、もう一度お願いします!」 だめだめ、今、私は未央なの。優衣じゃないんだから。 と、自分に言い聞かせ、篤志に向き直る。 篤志はというと、優しい笑顔でこちらを向いていた。 が、その笑顔が本物でないことは私にはわかる。 私がケイに抱き着くところからまた撮影が開始された。 「未央・・・」 涙目で下から上目使いで見る未央に、ケイは、切なく名前を呼ぶ。 そして、ゆっくりとケイの手が伸びてくる。 あ・・・さっきちゃんとしなきゃって考えたばかりなのに。 また、未央より自分が勝って出てきてしまう。 そっ、と私の頬を支える大きく優しい手。 演技をしているけれど、それは紛れもなく大好きな篤志の手だった。 なんで・・・ なんで未央にはこんなに優しく触れるのに、私には・・・ だめだ、もう今私の中には未央はいない。 演技ではなく、本物の涙が頬を伝い、篤志の手を濡らす。 すると、微かに篤志の手がピクッと動いた。 「・・・」 一瞬、戸惑ったように思えた篤志だったけど、すぐに戻り、篤志の顔はゆっくりと近づいてきた。
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