第1章 始まりの日

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僕が仕事を辞めてから、もう一ヶ月が経っていた。 一流ではないにしてもそれなりに名前の売れた会社で、僕は営業をこなしていた。 大学を卒業してから、ずっとそこで働いていた。 その会社が特別に好きだったということもなかったし、営業という仕事が僕に向いていたということもなかったけれど、ただ他に何もすることがなかったので仕事を続けていた。 僕は確実に硬直していた。 僕の身体だとかそういった表面上の部分ではなくて、もっと本質的な何かが硬直していた。 どうしてそんなふうに硬直してしまったのかは僕自身にさえもわからない。
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