第10章 シュウに関する記憶・歯車に関する夢

44/44
585人が本棚に入れています
本棚に追加
/524ページ
それから僕と美晴は毎日のように町に出た。 といっても、何か目的があったわけでもなく、ただ美晴のウィンドウ・ショッピングに付き合っていただけだ。 彼女は毎日飽きもせずに、同じショウ・ウィンドウを眺めて回った。 特に変わったこともなかったので、ロクに会うこともなかった。 もっとも毎日電話で様々な報告はしていたのだけれど、彼には美晴のことは言っていない。 言ってもかまいはしないのだけれど、何となく言い出す機会を失ってしまった。 同じような毎日を繰り返すうちに、僕と美晴が離れるべき日がやって来た。 明日、彼女はホテルをチェック・アウトし、自分の家へと戻ってしまう。 少し淋しいような気もしたけれど、それもまた仕方がなかった。
/524ページ

最初のコメントを投稿しよう!