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それから僕と美晴は毎日のように町に出た。
といっても、何か目的があったわけでもなく、ただ美晴のウィンドウ・ショッピングに付き合っていただけだ。
彼女は毎日飽きもせずに、同じショウ・ウィンドウを眺めて回った。
特に変わったこともなかったので、ロクに会うこともなかった。
もっとも毎日電話で様々な報告はしていたのだけれど、彼には美晴のことは言っていない。
言ってもかまいはしないのだけれど、何となく言い出す機会を失ってしまった。
同じような毎日を繰り返すうちに、僕と美晴が離れるべき日がやって来た。
明日、彼女はホテルをチェック・アウトし、自分の家へと戻ってしまう。
少し淋しいような気もしたけれど、それもまた仕方がなかった。
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