第8章 電話

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第8章 電話

長時間電車に揺られて、家に着いたときには、もうすっかり日は沈んでしまっていた。 僕はアパートの脇にある錆びかけた鉄の階段を駆け上って、二階にある、自分の部屋の扉を開けた。 部屋の中は出かけたときのままだった。 郵便受けを確認したけれど、手紙も何も来ていない。 いつもならば、広告の一枚くらいは入っているのだが、今日はそれすらも入っていなかった。 いつもなら鬱陶しいと思う広告でも、一枚も入っていなければ何となく寂しいものだ。 特にどこかに出かけて帰ってきた時は、誰もが僕の存在を忘れてしまったような気がして、余計に寂しいような気がする。
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