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第10章 シュウに関する記憶・歯車に関する夢
午後六時に僕が『ピピ』に到着した時には、ロクはすでに酒を飲みながら待っていた。
いつものブランデーを、彼は舐めるようにして飲んでいる。
相変わらず、僕達以外に客はいない。
店内はどこか淋しげだ。
だけど、これが僕達の知っている『ピピ』の光景なのだ。
これが正しい『ピピ』の風景なのだ。
何が正しくて何が間違っているかなんて、確実に言えることはこの世の中にほとんどないけれど、『ピピ』の光景だけは少なくともこれで正しいと僕は断言できる。
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