585人が本棚に入れています
本棚に追加
/524ページ
第2章 ナナ
ナナと出会ったのは、僕が大学三年生になった年の夏だった。
その頃、大学は夏休みに入っていたのだけれど、僕は実家には戻らず、大学近くに借りていたアパートに留まっていた。
実家に帰っても良かったのだけれど、一人でいる方が何かと気楽だったし、何よりもいつでも遊べる友人が周りにいたので楽しかった。
僕はほとんど毎日、音楽を聴きながら本を読んでいた。
本を読んでいるときに流していたのはたいていピアノ曲だった。
特にショパンの曲を流していることが多かったけれど、時にはベートーベンやリストの曲も流していた。
それはそのときどきの気分によった。
最初のコメントを投稿しよう!