残念な少年の残念な逆走

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キーンコーンカーンコーン…… 「じゃ、帰ろうぜ。」 授業は全て終わり放課後。 俺は帰りの支度を済ませて連に声をかけた。 一応、登下校はいつも沙希も含め三人で行っている。 「ああ、待たせたな。」 連も帰りの支度を済ませて立ち上がる。 ここから沙希のクラスに迎えに行って合流するのが毎日の日課になっている。 「……そうそう、雄太、沙希に呼出し頼むの忘れてないだろうな?」 「うっ……!」 嫌なこと思い出しちゃったよ……。 上手いこと忘れたままにしておきたかったなぁ……。 「キツいのは分かるけど、一歩ずつ進むしかないだろ。今回に至っては呼び出しを頼めば後は適当に付き合って適当に別れるだけだし、そこだけ思い切って頑張れよ。」 「……なんかそれはそれでおかしくない?」 実際そうではあるけどなんか……うん。 「細かいことは気にするなって。ま、俺がついてる限り逃げられないのは覚悟しとけよ?」 「……はい。」 覚悟を決めるしかないか……。 「よしよし。後はなるべく面白い感じに頑張れよ。」 「今、さらっと本音こぼしたよね!?」
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