残念な少年の残念な逆走

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「おーい、沙希ー。」 沙希のクラスに着くと、沙希が北原さんと仲よさ気に話していた。 そういえば普段も沙希を迎えに行くときは基本的に沙希って北原さんといるっけ。 沙希しか友達いないってのは冗談じゃないんだな……。 「そーそー!それで雄太がねー!………あ、雄太!」 沙希も俺の声に反応して振り向いた。 「おまたせ。……っていうか俺の話してなかった?」 「まーね。雄太ってネタになるからねっ!」 ネタって。 「……ああ、来ちゃったんだ。」 沙希とそんなやりとりをしていると、北原さんが明らかに不機嫌そうな視線を俺に向けてきた。 「な……何?」 「………ふんっ、何でもない。」 ……なんか俺嫌われてる? 一応明日告白する相手なんだけど……。 「莉奈、ごめんねー。いつも時間潰しに付き合ってくれて。」 「ううん、気にしないで。あたしが好きでやってるんだから。」 そう言いながら沙希に笑顔を向ける北原さん。 基本的に人当たりが悪い北原さんだけど、沙希にだけは心を開いているらしい。 それにしても………笑顔が本当にに可愛い分、この人が無愛想なのは凄く勿体ないなあ。 「………?何見てるの?キモいんだけど。」 「なっ………!」 こいつ……! 「あははっ、莉奈は雄太の話は面白そうに聞いてくれるのに雄太本人は大嫌いなんだねー。」 「あたし、本物には全く興味ないからね。」 「ぐっ……!」 ……俺、なんか怨まれるようなことしたっけ?
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