2141人が本棚に入れています
本棚に追加
「(……冷静に考えてみたらお前が先に彼女作れよ!)」
「(まあまあ。それよりも沙希がびっくりしてるぞ。)」
えっ?
「……嘘……。」
俺達が小声で言い争っているのをよそに、沙希は信じられないといった顔をしていた。
「雄太……莉奈が好きだったの?」
「え……あ……うん……。」
あっ……ついつい『うん』って言っちゃったけど、今否定すればよかったんじゃ……。
俺、墓穴掘った?
「そ……そうだったんだ……。へ、へぇ~……。」
「驚いただろ?雄太ってホモ疑惑もあった位だしな。」
おい、それ初耳なんですけど。
「あははっ……ほんと……びっくりしちゃった。雄太は莉奈が好きだったんだね。」
「ま……まあね。」
…………。
好きな娘に他の娘が好きって言うのって結構辛いな……。
「そうそう、それで雄太が沙希に一つ頼みたいことがあるんだってさ。な?」
「あ……うん。あのさ、実は明日北原さんを呼び出してくれたりとか……してくれると……。」
「う……うん……呼び出しね?それくらいなら……うん、いいよ。」
「あ……ありがと。」
これで完全に後戻り出来ないな……。
こうなったらもう開き直るしかないか……。
「よかったな、雄太。沙希、今度鈴木を誘ってダブルデートでもしたらどうだ?」
「……連……!」
笑顔の連と苛立ち気味の沙希。
……?
「あの……沙希?」
「……えっ?あ……ごめん、雄太。今日はもう帰るね。それ、置いてくから読んでていいよ。じゃ、また明日。」
「あ……うん。じゃあね。」
………?
最初のコメントを投稿しよう!