残念な少年の残念な逆走

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「(……冷静に考えてみたらお前が先に彼女作れよ!)」 「(まあまあ。それよりも沙希がびっくりしてるぞ。)」 えっ? 「……嘘……。」 俺達が小声で言い争っているのをよそに、沙希は信じられないといった顔をしていた。 「雄太……莉奈が好きだったの?」 「え……あ……うん……。」 あっ……ついつい『うん』って言っちゃったけど、今否定すればよかったんじゃ……。 俺、墓穴掘った? 「そ……そうだったんだ……。へ、へぇ~……。」 「驚いただろ?雄太ってホモ疑惑もあった位だしな。」 おい、それ初耳なんですけど。 「あははっ……ほんと……びっくりしちゃった。雄太は莉奈が好きだったんだね。」 「ま……まあね。」 …………。 好きな娘に他の娘が好きって言うのって結構辛いな……。 「そうそう、それで雄太が沙希に一つ頼みたいことがあるんだってさ。な?」 「あ……うん。あのさ、実は明日北原さんを呼び出してくれたりとか……してくれると……。」 「う……うん……呼び出しね?それくらいなら……うん、いいよ。」 「あ……ありがと。」 これで完全に後戻り出来ないな……。 こうなったらもう開き直るしかないか……。 「よかったな、雄太。沙希、今度鈴木を誘ってダブルデートでもしたらどうだ?」 「……連……!」 笑顔の連と苛立ち気味の沙希。 ……? 「あの……沙希?」 「……えっ?あ……ごめん、雄太。今日はもう帰るね。それ、置いてくから読んでていいよ。じゃ、また明日。」 「あ……うん。じゃあね。」 ………?
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