残念な少年の残念な逆走

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――――― ―――― ――― 「……よって、ここでは熱化学方程式をこのように組むことにより……」 告白当日。 告白の時間まではもうあとわずか。 いつもは真面目に聞いてる授業も今日は完全に耳に入ってこない。 告白のタイミングは昼休み。 人目につかないようにと屋上で。 沙希が昨日の夜に上手いこと誘い出してくれたらしい。 「………はぁ」 あー……気が重い。 告白もそうだけど、今日も朝から沙希と連は険悪な雰囲気だったし、なんか全体的に俺の周りの空気が悪かった気がする。 俺が沈んでるからそう感じちゃってるだけならいいけど……。 しかもそれに加えてお金がなぁ……。 お年玉の残りの一万円をこんな所で殉職させられたら泣くしかない。 来月発売のゲームに使うつもりだったのに……。 うーん……お菓子とか買うのやめてお小遣を貯めるしかないか。 ……いやいやいや、今の段階でお金の問題はそんなに大事じゃないな。 今大事なのは告白と二人の仲だな。 …………。 ………そうは言ってもやっぱりお金も大事だよね、うん。
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