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そして翌朝。
閉めたカーテンの隙間からは、部屋に日差しが差し込んでいる。
「………あの、皆さん?」
「何?」
「んー?」
「どうしたの?」
………。
「僕達は……何をやっていたんでしょうか。」
「んー?まあ、『同じ水に入ることって一体どういうことなんだろう』っていうお題に関する議論でしょ?」
沙希が今更何を、とでも言いたそうな顔を向ける。
「いや、そうじゃなくてさ、何で俺達は夜通しこんなことをしちゃってるの!?ヤバいでしょ!?」
「「……!」」
それを聞いた女子二名がはっとした。
「確かに……!」
「これはちょっとマズいかも……!」
沙希と北原さんがそう言って顔を見合わせる。
「でしょ!?今日は勉強か――」
「「寝不足は肌に悪い!!」」
違うっ……!
「ど、どうしよう莉奈!?今から寝た方がいいかな!?」
「う、うん。でも生活リズムを崩さない為にも今から長時間の睡眠はよくないから……今日は二時間くらい寝てあとは夜まで我慢する感じがいいかも……。」
二人が深刻そうな顔になる。
「そうじゃないよね!?俺達勉強会してるはずでしょ!?」
凄まじい脱線しちゃったけど!
「……え?ああ、そっち?それならずっとやってたから大丈夫。」
北原さんはもの凄くどうでもよさそうにさらっとそう言った。
「……はい?」
ずっとやってた……?
「いや、一応会話のあいだあいだでたまに暗記すべきものを頭の中で復唱してたから、覚えないといけないものは殆ど覚えきったし。ね、沙希?」
「うん、あとは数学の応用問題あたりを少しやればいいくらいかなー。っていうか雄太はやってなかったの?」
逆に二人が不思議そうに俺を見る。
「………。」
なんという要領の良さ……!
「あ、そうそう。仮眠の前にもう一度風呂に入りたければ追い炊きするけどどうする?」
「あたしは入ろうかな。お兄ちゃん、よろしく。」
「あたしは起きてからシャワーだけ貸して下さい。あ、雄太はどうする?」
「……僕はもうちょっと勉強することにします。」
最初から最後まで完全に大失敗だよこの勉強会!
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