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「んっ、莉奈。今日のお弁当はまた一段とおいしいねっ!」
「そう?昨日の夕飯の残りを使ったからかも。昨日はお兄ちゃんが当番だったし。」
もう完全に習慣となった学校の屋上でのお昼。
11月半ばとなって少し冷え込んできた最近は、特に冷える日は屋上のドア手前で食べていた。
「いやいやー、謙遜しなくていいですよお嬢さん。ね、雄太も美味しいよね?」
「………。」
なんであの式をあそこに代入……いや、それよりなんであれを思い出せなかったんだ……。
「……おーい、雄太くーん?」
そう言って沙希が俺の前で手を上下に振る。
「……えっ?あ、何?」
「……はぁ。まだテストのこと引きづってるの?」
「まあ……はい。」
結局、今回のテストも相変わらずの4位だった。
連が一位、沙希が二位、北原さんが三位と上の三人には結局敵わず。
それどころか今回は俺と二人の間には決定的に要領のよさ、もっと直球で言えば基本スペックに違いがあり過ぎることを知らしめられたからもうテンションはガタ落ち。
まあ何より恐ろしいのはその二人を結構突き放して余裕の一位だったイケメン様だけど。
「お前は勉強時間だけなら俺達の中で断トツなのにな。要領が悪いんだよ。」
「ぐぅ……!」
痛いところを……!
「いや、別に田中はそこまで絶望的には要領悪くないでしょ。」
北原さんが真顔でさらっと酷いことを言い放つ。
真顔な辺り、恐らくフォローをしてくれているんだと思う。
「………。」
でも北原さん、それフォローになってないです。
っていうか悪意が無い分、さっきのよりグサッと来た。
「あ、雄太。泣くならハンカチ貸してあげるよ。」
「ありがと……沙希。」
優しさが胸に染みるよ……!
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