残念な少年の残念な逆走

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キーンコーンカーンコーン…… 「……というわけで、消したい物質のモル数に注意すれば簡単になります。では、今日はここまでにします。」 色々と悩んでいたら、あっという間に授業が終わってしまった。 この授業が午前中最後の授業だったから、とうとう昼休みが来てしまったということになる。 はぁ……これ程までに嬉しくない昼休みは初めてだ。 「雄太、とうとうだな。」 俺が沈んでいると、背後からイケメンが肩を叩いてきた。 普段より少し楽しそうな声なのは多分気のせいじゃない。 「……そんなことしなくても逃げないから大丈夫だって。」 「へえ、意外だな。もう観念したのか。」 既にもう色々と手遅れだしね。 「あ、でも捨てられた後に一文無しになったらジュース位おごってもらうからな。」 来週の今頃は極貧生活だろうし。 「ああ、分かったよ。けしかけたのは俺だからな。デート代も多少なら助けてやるよ。」 「で……デート代も!?」 「お前が付き合って苦痛に感じた場合に限って……だけどな。そうなったら俺に非があるから多少は払ってやるよ。」 「連……!」 やっぱり連は俺のことを考えて今回のことを……!? 「ごめん……俺、今まで少し連のこと疑ってたよ……。」 俺は親友に対してなんてことを…… 「……金でこんなに簡単に心が動くなんて、お前は安い奴だよな……。」 「……うん、自覚はある。」
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