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「何だようるせえな……。っていうか呼んでんだから反応しろよ。」
俺の隣で少しうるさそうな顔をしながらも、クールに弁当を食べる親友の超イケメン――成宮連(ナルミヤレン)――こいつが全ての元凶だ。
「大体、俺が何をしたっていうんだよ。」
「……いや、ふと冷静に振り返ってみるとさ、俺って連のせいで目立たないんだよなあって思って。」
この隣のイケメンはもう色々とおかしい。
学校のテストではほぼ毎回一位だし、運動でも俺の記録を全て上回るし、顔もアイドル行けよ馬鹿野郎って位のイケメン。
ゲームでも勝ったことが無いし、じゃんけんすらほぼ勝てない。
もう俺のアイデンティティを完全に否定してる。
……あ、でもトイレ掃除のクオリティーなら勝てる。余計悲しくなるけど。
「……なんだ、そんなことかよ。」
「俺にしたら結構深刻なんだよ!存在価値的なレベルで!」
トイレ掃除でしか勝てないとか辛過ぎるんだよ!
お陰でクラスでも宿題の難しい問題は皆連に聞きに行って、連が手一杯の時だけ仕方ない感じで俺に聞きに来るし、球技のチーム分けだと俺と連が別れるとハズレ扱いされるし。
バレンタインなんて完全に連へのチョコの配達係だし。
「あー……ほら、あれだ。雄太ってテストは毎回4位だろ?不動の4位は俺には出来ねえよ。」
「それ全然嬉しくないから!」
ついでにさっき自分をよく見せようと自分自身に
『テストは毎回4位以内』
って言ったのもなんか恥ずかしくなって来たよ!
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